当院で行う検査と治療Examination & treatment

「不妊症」とは、赤ちゃんを望みながら夫婦生活をされているにもかかわらず、2年経っても妊娠しない状態を言います。
当院では、子宮卵管造影・ホルモン療法・精液検査等の一般不妊治療を行っております。

一緒にひとつひとつ乗り越えて行きましょう。

原因

女性側の原因で最も多いのは、卵管の異常とホルモン分泌の異常です。
卵管の異常の原因としてはクラミジア感染症、子宮内膜症や手術などによる癒着などがあります。ホルモン分泌の異常には排卵障害や、着床期の黄体機能不全、高プロラクチン血症などがあります。
また、これ以外にも、頻度は少ないのですが、女性の体液中にご主人の精子の動きを止めてしまう物質(抗精子抗体)を持っている方もいらっしゃいます。
男性側の原因としては、精子の少ない「乏精子症」(精液1ml中2,000万未満)、精子の動きが悪い「精子無力症」(直進する運動精子が全体で50%未満)などです。

検査

※下記の検査は、一度当院を受診していただき、診察の上でご予約をお取りするものです。

子宮卵管造影

●検査時期

月経終了後~排卵まで 月経中に予約が必要です

子宮内に小さな風船のついたチューブを留置して、そこから造影剤を注入し、X線撮影を行い子宮の形態や卵管の通り具合をみます。

ホルモン検査

●検査時期

月経中
(月経4日以内)
下垂体ホルモン(LH・FSH・プロラクチン)
高温期中期
(高温期5~6日目)
卵巣ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)

基礎体温を計測し排卵の有無、高温期が安定しているかをみます。
また、血液検査でホルモン分泌異常の有無をみます。

精液検査

マスターベーションにより朝自宅で採取します。容器はあらかじめ病院でお渡しします。
採取後2時間以内の検査が望ましいです。

超音波検査

子宮・卵巣の異常(子宮筋腫や子宮内膜症など)の有無、卵胞計測、子宮内膜厚計測

その他

■血液検査(CA125・抗精子抗体)
■クラミジア検査
■性交後検査(フーナー検査)
■乳汁分泌の有無

治療

当院では自然排卵(必要な方には排卵誘発剤も使用します)によるタイミング療法および人工授精を行っています。

排卵誘発剤について

排卵誘発法には、排卵障害のある方に排卵をおこし、また多数の卵子を排卵させることにより妊娠率を向上させる目的があります。

●クロミフェン療法、クロミフェン/hCG療法
クロミフェンは内服の排卵誘発剤として広く用いられている製剤で、視床下部を刺激して排卵を起こす作用があります。
※視床下部からは GnRH というホルモンが分泌され下垂体→卵巣を刺激し排卵を促します。
このホルモンの分泌が少ない場合に、クロミフェンを投与することによりその分泌が促進されます。
またクロミフェンを使用して卵子が成熟しても、卵子を排卵させるのに必要なLHというホルモンが放出されないことがあります。この場合は卵胞が成熟した時点で LH と同じ作用を有する hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という注射を投与して、卵子の放出を促します。

●hMG/hCG療法
hMGは下垂体から分泌される卵巣刺激ホルモンであるFSH作用を有する薬剤で、下垂体の機能が低下した無月経に対する治療薬です。
下垂体無月経や多嚢胞性卵巣による無月経がhMG療法の適応となります。hMG注射により卵胞成熟がみられればhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)注射をして、卵子の放出を促します。

タイミング療法について

排卵近くに超音波検査で卵胞計測を行い排卵の時期をより正確に推定します。

人工授精について

卵胞計測を行い排卵の時期を推定した上で人工授精の日程を決めます。
当日朝自宅で採取していただいた精液は、培養液中で洗浄濃縮して、受精に対して有害な成分を取り除くと同時に、濃縮、運動率の高い精子の選別をして、これを、人工授精用のチューブを用いて、ベット上で子宮内に注入します。
通常は痛みはなく、約1分で終了します。授精後は30分ほど骨盤を高くして安静にします。